外圧ゼロのアルティメット「将棋世界」
プロ・アマ問わず将棋界のすべてがわかる将棋総合雑誌「将棋世界」をご存じだろうか。知ってるあなたは、かなりの将棋好き。購読している君は、立派なマニアである。ムネをはっていい。自覚がなくても君はマニアだ。世の中は君の世界を知らない。知ろうともしないわけだが。
さて、この雑誌。「幅広い内容で迫るビジュアルな将棋総合雑誌」なワケだが、真面目な記事ばかりかと思いきや、我々一般市民でも十分楽しめる内容となっている。羽生しかしらないあなたでも、立ち読みぐらいはしていただきたい。思いがけないおもしろさと出会うことだろう。
ページをひらけば、羽生がガリンコ号の一日船長をしていたり、またある時には、女流棋士のグラビアが展開されていたりする。おかたい雑誌だと思って、まどわされてはいけない。外圧のないこの世界ならではのおかしみを見いだすことができる。
例えば、
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米長邦雄円熟対談
ゲスト・志村けん(タレント)
志村「将棋を指すとき、まず玉の囲いを考えます。
将棋は遊びにしては深すぎますよね。」
米長「90分番組のコントを考えるのに5日間かかるとは、
タイトル戦以上に大変ですね」
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あなたは志村けんが、玉の囲いを気にしていることを知っていたか。また「(タレント)」という表記も「いまさら何を」感たっぷり。
さらに、こんな人物も‥
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米長邦雄円熟対談
ゲスト・川淵三郎(日本サッカー協会キャプテン)
米長「監督が決める選手の配置は将棋の駒組ですね」
川淵「守備をがっちり固めるクラブは穴熊とか(笑)」
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キャプテンもしょせん将棋好きのジジイということだろうか。この世界でしか通用しないたとえ「穴熊」を言ってご満悦。ぜひ、他メディアで将棋にたとえてコメントして欲しいものだ。「ジーコの今の交代は言うならば、一手損角がわりをしようとしてるんですよ‥」とか。
一般市民が見ていないと思って、日本の文化ともいうべき将棋は、どんどんなんでもありの展開を見せつけてくる。タイトルだけを見ても、アルティメットというほかない。
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「呆然と地球でただ一人荒野に立ちすくむ山本真也五段」
「人間にとってやっぱり終盤は大変である」
「中井広恵はサムライである」中井広恵女流王将・倉敷藤花
「羽生せんせいといっしょ! 」
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そして、圧巻は「私と将棋を指しましょう」というバンカナ・コーナー。将棋界でアイドル視されている坂東カナコという女流棋士のコーナーなのだが、これがまた、ひどい。終止呼び捨てでバンカナ。小学生もバンカナを見ておおはしゃぎ、てな具合だ。
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第1回 バンカナの新年
第2回 バンカナ、西へ
第3回 小雪舞う、北九州にて
第4回 バンカナは18歳になります!
第5回 将棋の指せる喫茶店
第6回 バンカナ、将棋の町へ
第7回 アットホームな自宅教室
第8回 バンカナ台風接近中!?
第9回 すくすく育て!稲穂のように
第10回 優勝にわく街
第11回 日本一を目指せ!
最終回 またどこかで会いましょう
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第2回の「バンカナ、西へ」はタイトルとして美しくすらあるバカ。第4回なんて確実に勝手に書かれてるし。第8回にいたっては架空人気が災害的あつかいだ。第11回で日本一になれ!と熱っぽくはげましといて、最終回に「またどこかで会いましょう」と突然の別れ。息をつかせぬ展開といえよう。
我々の知らないところで、どんどん将棋界も変わっている。将棋世界。ページの向こうは、圧倒的な異文化が広がっている。あれ、異文化って変か。
text by 副編集長
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