ゆるゆる厳選記事

2008年3月12日 (水)

泣ける映画は、こころの風俗。

人は液体を出すことに、快感を覚える生き物だと思う。さわやかな順に例を並べると、汗をかく運動、涙をこぼす体験、せいえきを分泌するセッ○ス、血液を流す闘争‥‥グロくなるのでこのへんでやめる。

なかでもこの「カラダから液体を出す」という現象がもっとも美化されているものが「泣」だと思う。最も美しい排せつ行為、と言えるかも知れない。涙の理由は科学的にはっきり解明されていないし、心の作用だからそれぞれに違う。なぜ、涙が出るのだろう、とか、わざとらしく問いかけてくる青春の腐臭漂う歌詞があるが、流している本人は説明はしきれないけれど、なんとなくわかってる。言いかえると、なんとなくしか説明できない。説明しきれる涙はない。

解明されていない、ということはオカルト的でもあるわけなんだけど、なぜか怪しさや不思議は漂わない。涙を流すということがどういうことか、科学をこえた実感があるから。映画で泣くのは、そこに自分と重ね合わせる部分を見つけて、感動のエピソードを自分のものとしているからだと思う。母が恋しい息子は、母が死ぬシーンで泣くだろう。男に捨てられた女は、ヨリを戻すシーンで泣くだろう。映画に泣いているのではなく、映画と自分の体験との重なる部分を見つけて、泣いている。

単純に言えば、それはイメクラである。

例えば、かっこいい男が出てきて、うつくしい女と恋をする。別れる。もしくは、どちらかが死ぬ。悲しいエピソード。そこに自分を投影する。わかりやすいほどベタな筋書きは、欲望をダイレクトに解消する風俗を思わせる。

なんで、泣きたいのか。ストレス発散とか、気持ちいいから、という生理のお話に他ならない。「泣ける○○」とは、生理的なものを解消するために、直接的な方法をとっているということだろう。「泣ける映画」に飛びつく人を気持ち悪いというか、なんだかなぁ‥と思う原因は、脇目もふらずに風俗に直行するオヤジに対する嫌悪感と似ているからかもしれない。

「泣ける映画」に行く人は、風俗的な欲求の解消に後ろめたさを感じていない。気づいてすらいない。涙って美しいもんだから。でも、欲望まるだしってどうだろうか。これじゃイメクラだ、と思った瞬間、私はその映画ではもう泣けない。でも、気持ちいいから泣く、という自分の生理的欲求に正直な人もいるだろう。編集長なら、その気持ちはわかるはずだ。

「泣ける」という動詞は「自然と泣いてしまう」という意味の自発表現だったが、いま可能動詞の「泣くことができる」という意味に変わっている。その用法は、可能動詞「ヌける」と似ている。欲求の解消が第一目的、というような生臭い用法であることが「泣ける映画」を観て泣く人に対する嫌悪感の正体なのかもしれない。映画の観客が「泣けました!」とかのたまうCMがあるが、大げさに言うと「ヌけました!」と言ってのけてるもんである。その人にとっては、映画はこころの風俗なんである。なんだか下品だなぁ。

泣けるベタ映画に行く人は、イメクラに通う人と変わらない、と思う。そこに行く人は悪くない。ただ、もうちょっと恥ずかしがってもよくないか。

以上、オカズが多すぎる「陰日向に咲く」の感想でした。

Text by 副編

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2007年7月26日 (木)

ストレスを無力化する歌「東へ西へ」

最近も、飲んだ後はリサイタル。おっさんどもに包まれたカラオケでは、中年が胸のうちに秘めた少年性と大人が過去を腐らせていく哀愁をいつも感じる。谷村新司や、玉置浩二、堀内孝雄、そして武田鉄矢‥‥生涯絶対CDを買わないであろう昭和の歌謡曲との無駄な出会い。ジャイアンに空き地に集められた、あの子たちの気持ちが痛いほどわかる。しかもジャイアン5・6人いるからね。

この現実逃避すら許されない状況で、100曲に2曲くらいの割合だが、たまに「おお、いいね」と不覚にも思う瞬間がある。

前回、リバーサイドホテルを取り上げてみたが、
この「東へ西へ」も凄い歌詞。
井上陽水って凄いんですね。
知りませんでしたよ、先輩。

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 「東へ西へ」

 昼寝をすれば
 夜中に眠れないのは どういう訳だ
 満月 空に満月
 明日はいとしいあの娘に逢える
 目覚まし時計は
 母親みたいで 心が通わず
 たよりの自分は 睡眠不足で
 だから ガンバレ みんな ガンバレ
 月は流れて東へ西へ

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3番まで聞けばわかるんだけど、これ、電車にのって花見に行く歌なんだね。1番の歌詞はその前日の晩の話。

花見だからと言って、花鳥風月が出てくるからといって、風流を歌っているわけじゃない。「がんばれ、がんばれ」って言うから応援歌かとも思わせるがなんか違う。リバーサイドのときにも書いたかもしれないが、ひとつの意味にくくられることを嫌う歌が多い。

手法としても、重い言葉に軽い言葉をぶつけて、ネガティブにもポジティブにもしないよう心がけているのがわかる。

「昼寝をしたから眠れない」というイライラや不安は、
「眠れないのはどういうわけだ?」とかるい疑問にしてしまう。

「目覚まし時計は母親みたいで」と続けば
「口うるささ」や「しつこく起こす」というべたべたした
感情を語りがちだが「心が通わず」とつきはなす。

あの娘に会える期待感と、睡眠不足のけだるさもまた、対比している。こうしてフォーク調にありがちな(さだまさしイメージでしかないが)、ジメっとした人生の暗さやベタっとした愛憎にタッチせず、かといって、Jポップの君が好きだのアイミスユーだのという青くささもなく、どっちにも転ばない楽な姿勢を保っている。押しつけゼロの流石の中庸である。

一般人には伝わりにくい、この独特の超楽天的な感覚は、次につづく普遍的な一言で社会の意味に還元される。なんでこんな歌をうたってんだの答えになる部分だ。

「だから、がんばれ」

脈絡から言ったら「だけど」なんだけど、「だから」である必要がある。睡眠不足だけどがんばれ、ってやると普通な応援ソング。「だから」には、いいこともつらいこともひとくくりにした先の希望がみえる。よく考えたら、何が「だから」なのか分からないが、だからこそ、このいい加減に包括した感じの一言が、気楽に温かく響くと思うんですが、どうでしょうか。

で、最後にブルーハーツみたいに「がんばれ!」でシメちゃうと、もうストレートに応援歌の暑苦しさは残るわけなんだが、この人は、そんなメッセージ性すらも無力化する。

「月は流れて、東へ西へ。」

最後の一行で世界はぐんと広がる。月は沈み、昇り、時は流れる。睡眠不足なんて一晩のこと、って境地である。花見に行く前の日の話で、ここまでの広がりを見せられる人はおらん。

がんばれ、と歌われて本当にかんばる人は少ない。言うことと、伝えることは違うんである。でもきっと、この変わった歌の存在のおかげで、夜中に眠れない日がそんなにつらく思えなくなる。がんばるか・がんばらないかということよりも、そういうことを考えながら観る月が、美しいということを気づかせてくれる。しかもこの時、月を眺めてるのはひとりじゃない。

Mangetsu

異常に疲れているから、こう思ったのかもしれない。
最近、病んでます。

text by 副編

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2007年4月20日 (金)

銃撃事件とラオウの涙

Tsuya

18日、夜に身内や関係者のみで長崎市長の通夜が行われた。


Raoh2

18日、高野山東京別院において、ラオウ昇魂式が行われた。

18日の新聞を開くと、バージニア工科大の銃乱射事件で悲しみに暮れるものあり、長崎市長の死を悼むものあり、ラオウ昇魂式にかけつける3000人のバカあり。映画のための商魂式は、不謹慎の塊と化していた。

「今日はここに来るべきだと思った。あと、安らかにという言葉を掛けたいと思ったんです」

これは昇魂式にきたファンの言葉。それは今、ラオウではなく長崎市長に捧げるべきである。

映画でラオウの声優を務める宇梶剛士は「自分の生き方を貫こうとしても立ち止まった時があった。その時にあなたの生き方に励まされた。僕はいつも一期一会を大切にし、その時のベストを尽くしたい。あなたの生き方はまさに僕の行き方と一致していた」と力強く述べた。力強くバカである。空気読め。

 市長の死を悼むように長崎の街は雨だった。東京の昇魂式の日も雨だったが、バカなやつらよ、というラオウの涙に違いない。
Raoh

今これやっちゃいかんだろ。
せめて延期しろよ。

text by 副編

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2007年2月21日 (水)

意味消失の名歌詞「リバーサイドホテル」

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最近は、仕事でカラオケに行くようになってしまった。お酒は20時になってから、飲んだ後はリサイタル。おっさんとのカラオケボックスは、タバコの煙に包まれた玉手箱。ドアを開けたらとたんに老け込む自分がいる。チューリップ、安全地帯、コンプレックス、バービーボーイズ‥‥。俺をもとの時代に帰してくれ。

中年の後期にさしかかってようやく味が出てくる曲というやつもある。それが、ベタなところだが、井上陽水「リバーサイドホテル」。

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(間奏〜♪)

チェックインなら寝顔を見せるだけ
部屋のドアは金属のメタルで
シャレたテレビのプラグはぬいてあり
二人きりでも気持ちは交い合う
ベッドの中で魚になったあと
川に浮かんだプールでひと泳ぎ
どうせ二人は途中でやめるから
夜の長さを何度も味わえる
ホテルはリバーサイド 川沿いリバーサイド
食事もリバーサイド Oh, oh, oh, リバーサイド
ホテルはリバーサイド 水辺のリバーサイド
レジャーもリバーサイド Oh, oh, oh, リバーサイド
リバーサイド リバーサイド

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「川沿いリバーサイド」とは何だろうか。リバーサイドとは川沿いだ。その前の「金属のメタル」も金属はメタルである。さらには「水辺のリバーサイド」「食事もリバーサイド」「レジャーもリバーサイト」ラストは「オウ、オウ、オウ、リバーサイド」。ふざけてるのかもしれない。

陽水が歌えば、この無意味な歌詞は、大人の意味のない毎日の果てにある情感みたいなものを滲ませる。この「リバーサイド」の意味を消失させていく構成は、連呼とともに心地よく機能して、思い出の細部が混じりあい一つの言葉に集約されていく様子を描き出していて素晴らしい。無意味になっていく虚しさがいい。

だが、汚いおっさんがホテルの歌を歌うと、生臭い不倫関係の匂いまで漂ってくる。さらには過ぎさりしバブルさえ想起させる。43のおっさんが汗を流しマイクを握り「川沿いリバーサイッ!」と渋く決められた日にゃ哀愁さえ漂ってくる。

そんな雰囲気もぶっ壊すやつが現れるのが、おっさんカラオケ。

「ベッドの中で 魚になったあと」

と歌った後の常務のヤジ。

「ヘイヘイ、奥さんマグロだろ!」

Maguro

その一言でその日の無意味さを痛感した。

text by 副編

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2007年1月31日 (水)

エロを忘れた倖田來未ケータイCM

「エロかわいい」かも知れないが「かわいいエロ」ではない倖田來未。世間(主にTVキャスター)は彼女の行動(プロモーション活動)のすべてに、カッコエロをつけて観ていたと思う。「今日の(エロ)服装は素敵ですね」「とても激しい(エロ)ダンスでしたね」「凄く作り込まれた(エロ)PVで‥」てな具合に。どうみてもエロなんだが、世間的に白黒はっきりつけずに今日まできたから、NHKにも出れたのだと思う。だから今「倖田來未に似てるね」という言葉の微妙さがとても面白い。

そんな日本が誇る魅惑のビッチに(エロ)がつかない事態に遭遇した。なんてこった。

昼間に会うと、がっかりするような女がいる。雰囲気の良いバーの、薄暗い灯の下で話した水商売の女と、太陽の下で会うべきじゃない。「白日のもとにさらけ出す」という言葉の深みを思い知るからだ。

今回の案件はそんな状況に似ている。
東芝の「ええなぁ、コレ」のCM。

Koda2

これ、ご覧になっただろうか。どこにでもいそうな化粧の濃いギャル女があらわれて、カメラ目線で「めっちゃええやん」「押しやすい」「ええなぁ、これ」と誉めまくる。しかも「ハイテンション篇」だと。完全にフィルタ−がはずれた状態で現れるとは思わなんだ。(エロ)がとれたら、かっこよくもなんともなく、とんでもないもんが残ったのだ。


歌わない、ダンスもしない、エロくもない、かっこよくもない。それで良くCMに出たもんだ。ファンの「かわいい!」を受けとめての路線変更なんだろうか。だとしたら、イバラの道だ。思い出せ、もともとそっちに行けないから、エロで売ってたんじゃないのか。元祖「エロかっこいい」のお銀(水戸黄門)に学べ。エロにも円熟という未来はある。

text by 副編

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2005年12月25日 (日)

ひろし論

「ひろし」と言う名前には、人を惹きつける引力がある。日本中に散らばる「ひろし」という「ひろし」は、私の中で特別な意味を持っている。その呼称の平凡さが、ボンクラ感を醸しているからだろうか。「ひろしでいいや」という名付け時のあきらめを読み取るからだろうか。芸人の「ヒロシ」なんて、ポッと出の「ひろし」などの話ではない。ひろしの持つ、奥深くマの抜けた魅力がなんとか伝わればと思う。何も年の瀬にこんな話をしなくても、という感じなんだが、好きなことを自由に書いて更新をはじめるきっかけにしたい。

まず、「ひろし顔」というものが存在する、と思う。例えば、名波浩(ジュビロ)の特徴のない地味目の顔はまさしく「ひろしたるべくしてひろし」という感。また、ちびまるこちゃんと、クレヨンしんちゃんのお父さんが同じく、さくらひろし、野原ひろしとしているところもポイントが高い。何のポイントだ。とにかく、凡ようの象徴としての「ひろし顔」というものは、無意識のどこかに確かに存在している。ぜひ、同意を得たい。布施博の当たりさわりのない中身の薄そうな凡な笑顔を見ると、「ひろし」という、顏つきを決定づけるDNAがあるのかとさえ思えるほどだ。

次に、正統派ひろしを挙げる。関口宏、 久米宏、木佐貫洋、荒川博、三上博史、奥寺浩(イソップ)などなど、名だたる「まっとうな、ひろし」がいるが、皆、下の名前で呼ぶような人ではない。関口さんとか、久米さんとか、苗字の方に呼称の比重は傾く。「ひろし」の持つマヌケ性を活かし切っていない、ひろしの持ちぐされ達である。活かす必要がないのかもしれないが。

そんなのといっしょにすんじゃねえ!とばかりに怒り出す極悪ひろしもいる。その代表格が、加藤浩志(ビーバップハイスクール)だ。ビーバップ世代の放つ「おい、ヒロシ!」という言葉は、言ってる本人がちょっとなりきって言うほどの、不良性を帯びたものだった。ビーバップがなければ、あんなひろし像はうまれなかったに違いない。戸塚宏(戸塚ヨットスクール校長)がその流れをくんでいるようだが、このジャンル最強のヒロシは、本宮ひろ志(漫画家)であろう。

生島ヒロシ、黒鉄ヒロシ等のカタカナも独特の尾を引く生臭さが残るが、ひろしの持つヌケた感じを最大限に発揮しているのが、平仮名の「ひろし」だろう。まず、代表的な五木ひろしがいる。そして館ひろし、タチにあやかって登場した猫ひろし。かまやつひろしも、そういやひろしだ。ちょっと深く入ると、ガモウひろし(漫画家)やあしたひろし(漫才師)もいる。そしてなんといっても「ド根性ガエルのひろし」だろう。「ビーバップ加藤」とはまた違う意味での「おい、ひろし!」の存在を気づかせてくれる。平仮名で一気に脱力ひろし系。前出の人々も「ひろし仲間」というひとくくりで見ると、もはや逃れられぬマヌケに陥る。

親がどんな思いで名付けたか知らないが、これほど願いが届かない名前も見当たらない。同じヒロシでも、久米宏のようにスノッブでうさん臭いナイスミドルもいれば、本宮ひろ志のように「これが男じゃ!」と心にバンカラを羽織り生きる漢(おとこ)もいる。「三上博史のように育ってほしいと思って‥」とかいう理由で「ひろし」と名付けたら、 藤岡弘や権藤博、井手博士(らっきょの本名)、円広志、輪島大士、はたまた柳生博のような男になってしまうのだ。名付けで「ひろし」は、生来最初のかなりのバクチである。

最後に、そんなひろしワールドを余すところなく体現している男を紹介したい。彼は過去に「とんねるずのオールナイトニッポン」でネタになっていたほどの、ひろしオブひろしだ。その名も

芝草宇宙(元日ハム)

宇宙と書いてひろしと読む、壮大でありながら庶民的というカタルシス。もうわけがわからない。まさしく宇宙というほかない。人は何故ひろしと名付けるのか、ひろしは何故これほど跋扈しているのか。そこに理由はなく、色即是空の理をあらわす。ひろし。そこに無限の深遠があるのかもしれない。ないのかもしれないが。

text by 副編

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2005年1月 5日 (水)

痛ッ!アソコにウィルス侵入?

3・2・1、2005年〜!あけましておめでとう!の瞬間、我がゆるゆる新聞編集長のアソコに痛みがはしった。彼は孤立無援のトイレの中で、じっと堪えた。「なんでおめでたい日にこんな目に合うんだ」と泣き言を言いながらも、決して諦めずに戦う等身大のヒーローがそこにいた。張り巡らされた伏線、激痛の意外な正体、気色悪さ満点のクライマックス、粋なラストシーン‥これは、近年希にみる傑作アクション実話である。

1月1日 「尿道テロ」
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元旦を迎えた夜、そびえたつ男性自身で事件が起きた。おしっこすると軽い痛みが襲ってきた。「いじりすぎたかな」と思った。数時間後、また小便がしたくなった。「尿道が熱っぽい」と思った。もちろん、痛みもあった。でもたいしたもんじゃない。寝て、起きたら、また小便がしたくなった。トイレで気がついた。パンツが黄ばんでガビガビに乾いている。「夢精か?」といぶかしんだが、色が濃すぎる。そのまま小便を出したら、激痛がきた。ヒザから崩れ落ちた。

1月2日 「敵の正体は‥」
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尿意は2時間単位でやってくる。「妙だな」と思いながら、トイレへ行く。激痛。し終わるときが特に痛い。ウニ色の膿が出た。膿は1時間単位であふれ出た。その一日の終わり、部屋には、下半身丸出しでぐったりと横たわる編集長と汚れきったパンツが打ち捨てられていた。もはや尿道は、痛みに完全に占拠された。
編集長は、すぐさまネット検索で情報を収集。
「尿道にウィルスが入り込むと、不快感、分泌物が出るなどの症状が出ます。黄色い濃い膿が出て、排尿時に痛み、頻尿などの症状があります。放っておくと熱が出てきます。男性は前立腺炎や精巣炎を起こすこともあります。」(『尿道炎』または『性器クラミジア感染症(Chlamydia trachomatis)』の主な症例より)
編集長は確信を深めた。
「ウィルスが入り込んだに違いない。」

1月3日 「将棋祭りに行こう!」
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尿道テロ騒動まっただ中、我らがダイハード(なかなか死なない男)は病魔の正体を悟る。
しかし焦りはない。編集長は煙草に火をつけ、ゆっくりとした動作で部下に電話をかけた。
「どうやらウィルスが尿道に侵入したようだ。」
「病院に行ったほうが‥」
「それより東急でやってる将棋祭りに行こう」
「‥‥」
「なあに心配するな。中井女流王将の笑顔を見たら、痛みなんてすっ飛ぶさ」
「わかりました」
と言って電話を部下は切った。

1月4日

約束の時間が近付いても、編集長はいっこうに姿をあらわさなかった。部下がケータイを見ると、メールが届いていた。編集長からだ。文面は新たな惨劇のはじまりを告げていた。

「熱出たから家で待機してます」

+ +To be continued + +

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2004年12月22日 (水)

特報!大相撲フットサル大会

grand日本相撲協会は20日、札幌市厚別競技場で「相撲ブームを再び!2004」を開催。目玉種目のフットサル対決では、現役幕内チーム「Jイースト」と引退力士チーム「Jウエスト」が激突。水引幕のない青空のもと、厚別には満員御礼2万人が集まり、大入り袋が配られた。人気力士のはね立ち(1日興業)に観客からは北の金星(美人)たちの声援も飛んだ。

Mai「Jイースト」は横綱 朝青龍をワントップのFWに、中盤には魁皇・千代大海の両大関、DFは関脇 若の里、GKには人気沸騰の前頭 高見盛をすえた1・2・1の守備的布陣。魁皇は腰痛をおしての出場になった。監督には、北の潮理事長。対して「Jウエスト」は、曙・若乃花・武蔵丸の横綱スリートップを組み、最終ラインに舞の海、GKに寺尾という超攻撃的布陣でのぞんだ。監督は、輪島大士。年齢差を考慮して、ベンチには北尾、北陣(元関脇 麒麟児)が交替要員として控えた。レフェリーは、木村庄之助と式守伊之助がお互いにえり首を掴み合い「俺にやらせろ」ともめたが、審判長の九重親方(元横綱千代の富士)がつとめることで決着した。

chiyo現役力士たちは雪駄からスパイクに履き替え、大銀杏をゆったままユニフォームに袖を通し、ミネラルウォーターで力水をつけた。 高見盛の派手なパフォーマンスにスタンドは一 気にヒートアップ。制限時間一杯となり、水戸泉の豪快な塩まきでキックオフ。九重の笛が響き渡った。

試合は10分ハーフ。序盤は「Jイースト」の固い守りに苦しめられた。前半1分に武蔵丸が、同3分には若乃花が2本のシュートを放ちながら、幾度となくGK高見盛の好セーブに阻まれた。“東北の壁”こと、若の里にも攻撃の目を次々と摘み取られた。

しかし、前半8分。舞の海が魁皇を八艘飛びでかわしながら、左サイドに駆け上がった武蔵丸へパス。そのボールを武蔵丸がしっかり蹴り込んで、まず1点。先制点に「今年もやりました。最高に気持ちよかった」と息を弾ませながら大喜びだ。砂かぶり(最前列の観客席)では相撲協会のシンボルマーク「桜」の横断幕が揺れた。

後半、「Jウエスト」の勢いがさらに加速する。同3分、千代大海がクリアミスしたボールを舞の海が素早く奪い、すかさずシュートで2点目。同5分にも舞の海が自陣ゴール前でボールを奪うと、カウンター攻撃でドリブル1人旅。GK高見盛と1対1の場面も冷静にかわし、ダメ押しの3点目を叩き込んだ。舞の海はゴール直後、そんきょの姿勢をとり、手刀を切るパフォーマンスで「Jイースト」を挑発。

これに奮起した「Jイースト」は、主将の朝青龍がキックオフと同時に曙をボールごと電車道。こぼれたボールをひろった魁皇が鋭いシュートを放ったが、GK寺尾がジャンプ一番、好セーブ。だが九重はゴールラインをわったというゴールの判定。ここで藤島が挙手して物言い。勝負審判がセンターサークルに集まった。協議の結果は「ラインを僅かに残していた」だった。つまり行司軍配差し違えでノーゴールだ。

寺尾は喜びを爆発させ「ごっつあんです!」と九重に握手を求めると、軍配差し違えでヘソを曲げたのか、九重は無視。頭に血が登った寺尾は、突っ張りをかますが、九重には効かない。「あぶ‥」と錦島親方(元前頭 敷島)が呟いたが遅かった。次の瞬間、九重は寺尾の右突き手をたぐり、後ろに回り吊り上げて豪快にピッチの外へ落とした。

taka「負けてらんねえ。見てろ、暴れて暴れて暴れまくってやる。楽しくやろうぜ!」と、突然テンションをあげたのは貴乃花親方。謎の整体師 冨田多四郎が「行け!」と背中をはたくと、弾かれたようにピッチへ飛び出した。景子さんの「やめて!」という声は届かない。続いて奮起したのは大乃国。「俺だって、横綱!」と声を荒げて疾走。初代・若乃花(先代二子山親方)は落ち着いたもので「土俵の怪我は土俵の砂で直していくんですよ」と達観。大鵬も席を動かず「力士はバカであれ!」を連呼。元横綱たちは日頃のうっぷんを晴らすかのようにピッチになだれ込んだ。

asashio元横綱キラー朝潮こと高砂親方は輪島、三重ノ海、九重をゴールネットに投げ飛ばし、「ゴール!」と叫びながら、ひきしまったお腹を見せてアピール。 「止めましょうよ」とひとりオロオロする花田勝に「そんなことだからアメフトもパッとしねえんだ」と言い放ち「人生土俵際め!出てけ」と花田の人生もろとも釣り落とした。木村庄之助と式守伊之助は軍配を振り回し、狂ったように「ハッキヨイ!ハッキヨイ!」と喚きながら乱舞。観客席では発煙筒が焚かれ大混乱。ゲームは収拾がつかないままタイムアップとなった。大の字に倒れた九重は、息をはずませながら青空に向かって「体力の限界!」と叫んだ後、長い笛を吹いた。

3対0の完勝に輪島監督は「今日は楽しかったよ」と振り返り、「現役力士たちもうちょっと頑張ってほしいね」と胸を張った。主将の麒麟児も「今年最後の試合がいい結果で終わることができ、みんなの応援に応えられてよかった。来年はもっと欲を持って勝ち上がっていきたい」と力強く宣言。すでに次を見据えていた。

text by 太郎
※フィクションです。

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