« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »

2008年7月11日 (金)

タスポの先の世界

タスポを持っていなくても、たばこが買える自販機があるらしい。いまのところ、たばこの自販機の成人認証はタスポ式と運転免許式の2種類だが、そこに「顔認証式」が加わった。タスポと同様に、このシステムをパチンコ屋に導入しないことを、利権を大切にする人たちは以心伝心で共有していると思う。

顔認証式は、内蔵カメラで購入者の顔を撮影し、目や口の大きさや配置などから年代層を判定(できるのか?)。顔の骨格やしわなどで成人(もしくはふけ顔)かどうかを識別する。フジタカというメーカーらしい。もう導入されてるらしいが見たことない。

たしかケータイ会社も、ケータイで撮った画像で本人確認が行なえるシステムを開発してた。ケータイのロックを外すのに、自分の顔写真がキーになるというやつ。年くっても誤差(誤りではないと思うが)を修正する機能もあるらしい。

顔認証システムは大抵、悪さを防ぐために用いられる。これが大学に導入されると、もはや代返などは効かなくなる。監視カメラに実装されると、覆面していても判別できるらしい。日常で便利になるとしたら、会社や家のドア、さらには空港とかで、デジタル顔パスが可能になるくらいだろうか。疲れて老け込んだりしてるときに家に入れなかったらやだな。

個人的には、セキュリティーよりもっと楽しい方面に進化して欲しい。自分のそっくりさんを見つけてもらうような機械をプリクラなどに装備して欲しいものだ。どんだけキレイに撮れても「あなたは飯島愛に95%似ています」と冷酷な分析を楽しめたりする。

だが、顔の採点はちょっと恐い世界でもあるな、と思う。統計をとれれば顔を数値化でき「美人度」とやらが確立されるかもしれない。顔面接で入社試験に落ちたり、オーディションで門前払いされたり、整形がますます隆盛したり、美人認定アルゴリズムができたらデリヘル嬢が玄関前で「チェンジです」と電子ボイスで通達をされたりするわけだ。

顔認証で、顔は印鑑代わりになるどころか、人生も左右するものに進化しそうだ。「男は、自分の顔に責任をもて」とか「女は顔じゃない」などの格言すらデジタル的に更新される。タスポの先の世界には、ロボットにブサイクと罵られる未来が待っている。そんな未来を思うと、なんだか差別的な先生にあたった生徒のような憂鬱な気分になる。

text by 副編

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008年7月10日 (木)

洞爺湖周辺妄想サミット終了。

サミットなんて関係ない、と思っていたが、意外と影響は小市民にまであるもんだ。

一昨日の札幌では、夜あたりからサイレンを鳴らした護送車みたいなパトカーが連なって通りすぎ、昨日の朝は国道近くにベストを着こんだ警官が集団でうろついて街中で一車線を封鎖。今朝の交差点では、信号を止めて、道のど真ん中で交通整理するポリさんもいた。黒塗りの車がお通りになったが、あれが誰だか皆わからない。首脳婦人がひまだから観光しに行くだけ、とかそんな理由だったら嫌だな。

会社の周りをよくよく見れば自転車がきれいに撤去され、歩道に横付けしているトラックもいない。迷惑っちゃあ迷惑なんだろうが、それ以上でも以下でもない。札幌中心部で約3000人のデモがあったらしいが、仕事で観れなかったのは残念だ。

各国首脳が豪華ディナーを食いながら食料問題を考えたり、渋滞で排気ガスを倍増させて環境問題を考えたり、皮肉る部分は多々あるが、ネタに新鮮味はなくどこか空しい。マスコミの批判がつまらないのはサミットがおもしろいものではないからだだろう。そんなニュースを必死で見てリライトするブログのおもしろさにも限界があるだろう。サミット期間中、おもしろかったのは地場のブログ、洞爺湖のスナックの日記はよかった。場末のスナックの一期一会にこそ、サミットの味わいがあった。金を落とすのは広告関係や報道関係や警察関係なのですね。

温泉街も観光地も空しい思いをしただろう。サミットに踊らされた洞爺湖周辺の町村の嘆きが聞こえてくるようだ。俺たちは何を期待していたんだろう。これはサッカーのワールドカップの時とは違うんだ。ただ各国の首脳が洞爺湖のホテルで会議するだけじゃないか。ファーストレディがこんなカタ田舎の道の駅で土産物を買うはずがないじゃないか。

わかっていたけど、報道とかでわくわくしちゃった。ムードに押されて、やっちまった。洞爺湖周辺で住民の妄想のサミットが終わった。残ったのは、サミットまんじゅうの在庫と不況である。その最大の経済効果は、おびただしい数の警官が、昼夜交代で洞爺湖周辺のコンビニで買い物をしたことだと思う。

Samit

北海道にとって、サミットは警察まつりでした。

text by 副編

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 7日 (月)

喫茶店の漫画について。

Magoroku

古き良き汚い喫茶店でしか出会えない漫画がある。置かれているからには何らかの理由がある。そして古い喫茶店であればあるほど、ハズレは少ない。そこにある本は、どんな推薦文よりも信頼できる。

初めて島耕作を呼んだのも、喫茶店だった。独身中年男の夢とも言うべき存在だった。そこまでは想像していたのだが、女癖が悪いのは意外だった。何が面白いのか、10代の頃はわからなかったに違いない。

美味しんぼをちゃんと読んだのも喫茶店だ。そうだ。最初は絵に描いたような成金の俗物をアウトロー山岡がねじふせる話だった。そして、沈黙の艦隊。この本がある店には時代的共通点があるような気がする。

なにわ金融堂、静かなるドン、代紋2などの定番の男漫画も教わった。一番幸福だった出会いは、ああ播磨灘、なんと孫六のさだやす圭。瞬く間に俺ランキングをかけ登った。知らないことを恥じたほどだ。

喫茶店の漫画は、会社員たちにとって旅のようなものだと思う。島課長のようにサクセスしたり、ゴルゴ13のように寡黙に仕事を遂行したり、播磨灘のように最強にふるまったり、オリジナルのイメージを選んで、それぞれ空想の旅に出る。

喫茶店には、豊かな孤独というものを教わった。他人に包まれる安らぎ、というものがあることを知った。 漫画読みながらコーヒー飲む、昼休みの数十分。男たちは現実の役柄から離れて、それぞれに豊かで孤独な旅を楽しんでいるのだと思う。

Gurmet


text by 副編

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 4日 (金)

日産が次にシフトするのは何?

A

「全然正しいですね」とひと言もらしたとたん「だから若い者は‥」と日本語の乱れを指摘してくるじいさんがいる。親戚もしくは会社にひとりはいる。「全然という言葉は否定の意味で使うんだ」と説明を始めるとき、世話を焼いている優越感たっぷりの顔をしている。じいさんにとって、日本語は「乱れる」わけで「変化する」という概念はない。全然正しくないし、全然間違っている。乱れているから楽しくて、楽しいから変化するのだと思うのだが。

最近、乱れ方が楽しいのが日産。日産は、何でもかんでもシフトする。どこへシフトするのかはいつも教えてくれないけど、結局シフトしてしまう。もう何度シフトしただろう。そしてあと何度シフトするのだろうか。


ときめきをシフトする。
(スカイライン)

インテリアデザインをシフトする。
(ティアナ)

機能で遊びをシフトする。
(ウイングロード)

ミニバンの輝きをシフトする。
(プレサージュ)

ダイナミックをシフトする。
(エルグランド)

オリジナリティをシフトする。
(キューブ)

コンパクトの質をシフトする。
(ティーダ)

開放感をシフトする。
(ラフェスタ)

機動力をシフトする。
(デュアリス)

使いやすさをシフトする。
(オッティ)

コンパクトのフレキシビリティを、シフトする。
(ノート)

デザインをシフトする。
(ムラーノ)


これだけシフトすれば、もうシフトしづらくなってきたはずである。シフトする、シフトする、耳がタコになるまで聞いてきたから、そもそもどういう意味っだっけ?と問い直すことはなくなって、独自の意味に変容している。日産のシフトは、辞書に乗ってるシフトとは違うシフト。「シフトしてどうなったか」なんてどうでもいい。そろそろ妙な段階へシフトしてきている。

おもてなしをシフトする。(ティアナ)

ここまでくると、わかるようでわからない。シフトするのはわかるのだが、おもてなしというやっかいな言葉を選んだことがわからなさの要因だろう。「おもてなし」の本来は、茶道で「客を歓待すること」とかいう意味で使われる和の心得的なものだ。精神的なものを物質的なもので解消するあたりがひっかかる。正確に言うと「おもてなしの心をシフトする」ってことか。おもてなしは心の姿勢ですよ、と茶坊主に諭されそうである。

そんなことを考えながら、

「ティアナはおもてなしをシフトする快適な乗り心地と‥‥」

なんて文を見てみると、もはや意味は行方知れず。ふつうなら「くつろぎをシフトする」なのだが、言い換えてみました〜ということ。もはや「おもてなし」はビジネス用語になりつつあるから、料亭やホテル、観光バスに似合うかも。おもてなしをシフトします(船場吉兆)なんて感じに。

日常で使う「シフト」とは、普通の9時5時勤務ではなく、従業員がお互い勤務時間をずらすことでより長時間業務を行えるような勤務体制のことである。もしくは、阪神赤星の盗塁を防ぐための「赤星シフト」のように使われる場合である。日産の「シフト」は、その生活とのかけ離れ具合も楽しめる。

カタカナ動詞というやつは、チャラチャラしているからイライラするが、慣れてしまえば楽しいものだ。「コミュニケーションをドライブする」「ビジネスプロセスがコモディティ化する」という言葉に対して、頭いいけどばかだよね、というスタンスを忘れなければ大丈夫だろう。

日産は、意味の向こうへ走っている。あてもなく。
次のシフトが楽しみである。
SHIFT_nihongo

text by 副編

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »