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2007年9月12日 (水)

Rugby World cup1「ナミビア魂」

日本中が寝静まる午前三時ごろ。ケーブル系「J SPORTS PLUS」でラグビーワールドカップ プールD「アイルランド VS ナミビア」を観た。朝がくれば仕事が始まる月曜日ということを考えると、この国のどこかに点在する数少ない友人に手紙を書いているような気持ちになる。

ナミビアは、ワールドカップで一勝もしていない。前回大会では最弱と評され、しかも前回オーストラリアに0-142と屈辱的大敗をした同国は、IRBランキング24位と今大会参加国で最下位、今年も最弱の呼び声高い国だった。

ナミビアの監督はこんなようなことを言っていた。

「アイルランドが大量点ねらいなのはわかっている。だが、我々はやるべきことをやってきた」

4年前の負け犬は噛みついた。その日の気迫というよりも4年間の執念の長期的継続を感じさせた。あきらめない、あきらめられない。戦っていたのは、4年前の弱かった自分たちである。執念や復讐では歴史の深いアイルランドをハートで圧倒したシーンもあった。

ナミビアは、アイルランドの疑惑のトライを含む32-17で負けた。ノーサイド後、スタンドのほぼすべての観客がナミビア選手へ拍手を送った。

身体をぶつけあうスポーツでボロ負けしたときの悔しさは、将棋やチェスで負けたときの悔しさとは種類が違うと思う。体格や身体能力が民族の違いからきているものならば、民族が負けている、血がなめられている、ということになりそうだ。さらに団体競技は、個人競技より民族とか国家とかを浮きぼりにすると思う。格闘技は個人の戦いである以上「民族を背負っている感じ」は少ない。集団になったときに、民族性は試される。

たしかに、ナミビアは負けた。

でも拍手喝采を聞いていると、

負けたのは、たかが結果ぢゃねえか。

と思う。

国の誇りを勝ちとるために、
ワールドカップがあるとしたら、
ナミビアは圧倒的に勝利した。

だから、日本が大量点をとられてもいいじゃないか。
ボロ負けしてもいいぢゃないか。
そいつがなんだ。

と思う。
ヘビに飲まれるカエルの詩で、
草野心平がそんなことうたってた。

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「ヤマカガシの腹のなかから仲間に告げるゲリゲの言葉」


 痛いのは当り前ぢゃないか。
 声をたてるのも当り前だらうぢゃないか。
 ギリギリ喰はれてゐるんだから。
 おれはちっとも泣かないんだが。
 遠くでするコーラスに合はして歌ひたいんだが。

 泣き出すことも当り前ぢゃないか。
 みんな生理のお話ぢゃないか。
 どてっぱらから両脚はグチャグチャ喰ひちぎられてしまって。
 いま逆歯が胸んところに突きささったが。
 どうせもうすぐ死ぬだらうが。

 みんなの言ふのを笑ひながして。
 こいつの尻っぽに喰らひついたおれが。
 解かりすぎる程当り前にこいつに喰らひつかれて。
 解かりすぎる程はっきり死んでゆくのに。

 後悔なんてものは微塵もなからうぢゃないか。
 泣き声なんてものは。

 仲間よ安心しろ。

 みんな生理のお話ぢゃないか。
 おれはこいつの食道をギリリギリリさがってゆく。
 ガルルがやられたときのやうに。

 こいつは木にまきついておれを圧しつぶすのだ。
 そしたらおれはぐちゃぐちゃになるのだ。
 ふんそいつがなんだ。

 死んだら死んだで生きてゆくのだ。

 おれの死際に君たちの万歳コーラスがきこえるやうに。
 ドシドシガンガン歌ってくれ。
 しみったれ言はなかったおれぢゃないか。
 ゲリゲぢゃないか。

 満月ぢゃないか。

 満月はおれたちのお祭ぢゃないか。

(「定本 蛙」より)

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今夜、午前1時から桜とフィジー戦。
負けるかも?
ふんそいつがなんだ。
負けたら負けたで勝ちにゆくのだ。
ワールドカップぢゃないか。
ラグビーワールドカップは男たちのお祭ぢゃないか。

text by 副編

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