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2007年9月20日 (木)

Rugby World Cup3「身捨つるほどの祖国」

松崎しげる、つのだ☆ひろ、森進一、J-WALK、西城秀樹、五木ひろし、八代亜紀、カールスモーキー石井、野口五郎、工藤静香、氷川きよし、和田アキ子、西川貴教‥‥

彼らの共通点をごぞんじだろうか。

モノマネされやすい人ではない。

正解は、国歌の独唱をしたことがある、である。

ヒデキに日本を代表させてしまうセンスは、日本人しかわからない味がある。Jリーグができた頃のチャラけた空気の名残りなのか。私は、こんな国歌のひどい扱い(特にスマップ中居独唱)のせいで、涙を流して君が代を歌うことなど、自分の人生において金輪際ないだろうと確信している。

さて、21日午前4時から、ラグビーワールドカップの日本戦がある。

相手はウェールズである。
ラグビーは国技である。
首都カーディフである。
ミレニアム・スタジアムである。
7万4000人収容である。
しかも、ワールドカップである。
そこへ国歌がくる。
ランド・オブ・マイ・ファーザーズ
『勇敢なる雄々しき戦士達は、
 祖国のためにその血を捧げた』
その7万の合唱は世界一だと思う。

ウェールズの国歌は、寺山修司のうたを思い出させる。

 マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

もし、身を捧げるほどのものを「愛国心」というならば、そんなわかりやすいものはもちあわせていない。でも、力を一点に集めて突破するラグビーのような競技にとって有効に作用するものだけが愛国心ではなく、もっと使い道のない、役にたたない愛国心があっていいと思う。

私は日本のこういうところが好きである。

おっさんになっても漫画やゲームを愛するこころ。ヒデキが国歌をまかされるというセンス。スマップ中居の国歌独唱などの自虐的な笑い。一大事があってもカッパ発見を報じる東スポ的感覚を楽しむ余裕。実力がなくても人がいいだけで渡り歩けるぬるいサラリーマン的世界……

多少歪んではいるが、社会に対して抱く愛着ということで、これはこれで「愛国心」としてほしい。WBCで韓国人がマウンドに旗を立てるような「反」の感情がもちにくい国だから、そうゆうところでしか日本を好きな日本人は増えないと思う。

Hatabou

あす午前4時。ウェールズの真正面からの強烈な愛国心を体感し、この屈折した愛国心を矯正したいと思う。

text by 副編


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2007年9月14日 (金)

モンドセレクションの落とし穴

Pre_mal

プレミアムモルツは最高金賞である。世界最高の証。しかも3年連続。どうだ凄いだろう。というサントリープレミアムモルツ(以下プレモル)の自信の根拠は、すべて「モンドセレクション」の権威にある。

ここ数年で いつの間にやらプレモル=モンドセレクションというイメージが成立。五輪で三連覇した柔道の野村のテンションを思い出す。これもまた、メダル三つで「いつの間に」の天狗っぷり。権威たっぷりの人気はどうにもいけすかない。

そう想っていたところ、「食のオリンピック」とまで称されるモンドの権威が(北海道では?)最近くずれてきた。まず、ホットなところで言えば、石屋製菓の白い恋人も1986年にモンドセレクションの金賞を受賞。プレモルみたいに最高評価の「特別金賞」とまではいかないにしても、モンドの価値を若干下げることに貢献している。

もっとすごいのがホリ。料理研究家の服部先生がCMに出てる「夕張メロンピュアゼリー」は5年連続 最高金賞受賞!プレモルとは格が違う受賞歴。同じくホリの「とうきびチョコ」も5年連続モンド最高金賞!狭き門を感じさせながらも、この乱発気配。ジャンルは違えど、ホリに言わせれば、プレモルはまだまだ青びょうたんに過ぎないのである。

さらにプレモルにとって悩ましい受賞は、函館のタナベ食品。2007年、出品した「いかしゅうまい」等の商品が最高金賞と金賞の五冠を達成。それ事体は喜ばしいことだが、悲劇はCMの圧倒的なまでのダサさである。

Tanabe

「うまいべ!」

と社長らしき人が出てきて言う。「確かに、ダサい」。これも等しく最高金賞である。
モンドの役員が怒ってもいいくらいのダサダサ。プレモル=モンドにローカル臭がこびりつく。最高金賞の一点突破だっただけに、どうたて直すのか。タナベの件はなかったことにして、そのまま行くのか。もう出演してもらったらどうか。

「独自の製法」とか「糖質オフ」とか、味や中身の競争もどんぐりの背比べになってきた。新製品の回転数が売り上げになりつつある今、ロングセラーは生まれにくい。うまいかマズイかを賞の権威で語ってもこんな落とし穴がある。むしろスーパードライのあか抜けない直球感が爽快に思える。

楽なのは、エビスのザ・ホップ。心地よく酔わせてくれるゆるゆるCM。いちばん楽な地点にいるビールだと思う。意味なんて求めないほうがビールはおいしく飲める。

あのザ・ホップの味はそんなに好きではないが、テレビを見ていてひと休みさせてくれる感じは好きだ。あの商品そのものが、晴れた日の公園のベンチ的ポジションなわけだ。無職的な贅沢な自由が新しい。けれども、その無職感が現代の(というか自分の)あこがれのような気がして、すこしせつなくもある。最近、働きたくない。

Photo

text by 副編


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2007年9月13日 (木)

Rugby world Cup2「清宮さんの解説」

フィジー戦の感想です。

タイトルはけっこう悩みました。「ラグビーを汚す清宮の野次解説」にしようかとも思いました。「次期監督ぶる清宮の提言」「清宮解説ネガティブ音頭」「解説じゃなくて不満」「ただのイライラしたおっさんじゃねえか」などなど数ある候補案がありました。けれども、あの感情の抑えのきかない何様的解説に対して、感情で応えるのがアホらしく思えてきてやめました。

試合序盤は「解説」の仕事をされていた清宮さんでしたが、お気に召さないプレイが出てくるたび、すこしずつ上品ではない言葉をもらしてしまいます。ときどき、バカにされたような小笑いをもらすなど、視聴者に自分のイライラを伝えることに骨を折っておられました。

終盤には、

「あー、また!」
「もうジャパンはキック禁止!!」

そのお声には、松木安太郎のような無邪気さはありません。あくまでも自らの権力を確信し、無能な人を見下すかのような提言をぶちかまされます。アナウンサーは「そうですよね」と適当に同意し、「これがフィジアンマジック」「でたフィジアンマジック」「これがフィジアンマジックですね」と華麗なつなぎを形容する言葉を言うことに夢中になっておられました。僕はあんまりフィジアンマジックは出ていないのにと思いました。

民放を消して、生で放送しているケーブルの「J Sports PLUS」を見ると、ゲスト解説をしていた向井(コカ・コーラ監督) さんは、言葉づかいに気をつかっておられました。同じキック連発の意図を問われても、

「ここではキックが約束事になっているようですね」

と、元日本代表監督らしい抑えのきいたコメントでした。もうジャパンはキック禁止!と熱くなりすぎた解説の、無意味さがよくわかりました。

正しい指摘だとしても、あんな言い方はないんじゃないかな、ということは会社でも学校でも良くあります。それが、ワールドカップ日本戦の解説という大舞台で起こるとは思いませんでした。

私は、昔の清宮さんの「すぽると」での発言を思い出しました。

「野球選手はまあ、慣れているというか上手く話せますよね。ラグビー選手も社会人を経験しているだけあって、そこそこ話せる。でもサッカー選手って全然話せないんですよ。あれを見た親御さんが自分の子供にサッカーをさせようとは思わないでしょうね。」

サッカー選手の言葉づかいを指摘する清宮さんは、自らの言葉づかいを上手と言えるのでしょうか。

象徴的なのがロスタイムのシーン。アドバンテージが出ているのに、キックミスでゲームが終わったと錯覚したアナウンサーと清宮さんは、美しいほどにこっけいでした。あれこそハナからキックを醜悪なものと決めつけ「そら、またやった。だから言ったろ」的感情で観ている人の典型でした。ケーブルTVでは、解説の向井さんが、きちんとアドバンテージを見越していました。

日本は、確かに不可解なプレイをしていましたが、近年まれに見る大健闘のゲームをしました。最後の攻防は感動的ですらありました。フランス人の観客たちによる「ジャポン」大合唱は、ワールドカップの素晴らしさを、この試合の素晴らしさを、まっすぐ心に届けてくれました。

たしかに、要所でのミスに悔しい気持ちはどうしても残ります。 でも、それ以上に「俺が監督だったらさぁ」とばかりに「キック禁止!」とわめきイライラをたれながす感情のトイレと化したクソ解説に善戦を汚されたのが心残りです。

せっかく、いい試合だったのに。

text by 副編

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2007年9月12日 (水)

Rugby World cup1「ナミビア魂」

日本中が寝静まる午前三時ごろ。ケーブル系「J SPORTS PLUS」でラグビーワールドカップ プールD「アイルランド VS ナミビア」を観た。朝がくれば仕事が始まる月曜日ということを考えると、この国のどこかに点在する数少ない友人に手紙を書いているような気持ちになる。

ナミビアは、ワールドカップで一勝もしていない。前回大会では最弱と評され、しかも前回オーストラリアに0-142と屈辱的大敗をした同国は、IRBランキング24位と今大会参加国で最下位、今年も最弱の呼び声高い国だった。

ナミビアの監督はこんなようなことを言っていた。

「アイルランドが大量点ねらいなのはわかっている。だが、我々はやるべきことをやってきた」

4年前の負け犬は噛みついた。その日の気迫というよりも4年間の執念の長期的継続を感じさせた。あきらめない、あきらめられない。戦っていたのは、4年前の弱かった自分たちである。執念や復讐では歴史の深いアイルランドをハートで圧倒したシーンもあった。

ナミビアは、アイルランドの疑惑のトライを含む32-17で負けた。ノーサイド後、スタンドのほぼすべての観客がナミビア選手へ拍手を送った。

身体をぶつけあうスポーツでボロ負けしたときの悔しさは、将棋やチェスで負けたときの悔しさとは種類が違うと思う。体格や身体能力が民族の違いからきているものならば、民族が負けている、血がなめられている、ということになりそうだ。さらに団体競技は、個人競技より民族とか国家とかを浮きぼりにすると思う。格闘技は個人の戦いである以上「民族を背負っている感じ」は少ない。集団になったときに、民族性は試される。

たしかに、ナミビアは負けた。

でも拍手喝采を聞いていると、

負けたのは、たかが結果ぢゃねえか。

と思う。

国の誇りを勝ちとるために、
ワールドカップがあるとしたら、
ナミビアは圧倒的に勝利した。

だから、日本が大量点をとられてもいいじゃないか。
ボロ負けしてもいいぢゃないか。
そいつがなんだ。

と思う。
ヘビに飲まれるカエルの詩で、
草野心平がそんなことうたってた。

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「ヤマカガシの腹のなかから仲間に告げるゲリゲの言葉」


 痛いのは当り前ぢゃないか。
 声をたてるのも当り前だらうぢゃないか。
 ギリギリ喰はれてゐるんだから。
 おれはちっとも泣かないんだが。
 遠くでするコーラスに合はして歌ひたいんだが。

 泣き出すことも当り前ぢゃないか。
 みんな生理のお話ぢゃないか。
 どてっぱらから両脚はグチャグチャ喰ひちぎられてしまって。
 いま逆歯が胸んところに突きささったが。
 どうせもうすぐ死ぬだらうが。

 みんなの言ふのを笑ひながして。
 こいつの尻っぽに喰らひついたおれが。
 解かりすぎる程当り前にこいつに喰らひつかれて。
 解かりすぎる程はっきり死んでゆくのに。

 後悔なんてものは微塵もなからうぢゃないか。
 泣き声なんてものは。

 仲間よ安心しろ。

 みんな生理のお話ぢゃないか。
 おれはこいつの食道をギリリギリリさがってゆく。
 ガルルがやられたときのやうに。

 こいつは木にまきついておれを圧しつぶすのだ。
 そしたらおれはぐちゃぐちゃになるのだ。
 ふんそいつがなんだ。

 死んだら死んだで生きてゆくのだ。

 おれの死際に君たちの万歳コーラスがきこえるやうに。
 ドシドシガンガン歌ってくれ。
 しみったれ言はなかったおれぢゃないか。
 ゲリゲぢゃないか。

 満月ぢゃないか。

 満月はおれたちのお祭ぢゃないか。

(「定本 蛙」より)

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今夜、午前1時から桜とフィジー戦。
負けるかも?
ふんそいつがなんだ。
負けたら負けたで勝ちにゆくのだ。
ワールドカップぢゃないか。
ラグビーワールドカップは男たちのお祭ぢゃないか。

text by 副編

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