世界に羽ばたけ織田裕二!そして落ちろ
政府開発援助のことを「ODA」というが、私はいつも織田裕二のこと思い出してしまい真剣味を感じない。ODA民間モニター、ODA出前講座、ODA大綱、ODA白書‥‥ふざけているように思える。「途上国へのODA」といっても、抜けるような青空をバックに途上国の貧しい子どもたちを織田裕二がときおり真剣な眉間で、ときおり笑いながら歯をみせて、はげましている姿が浮んでしまう。いっそのことODAのイメージキャラクターにしてはどうか。
世界陸上。あれも「織田裕二の世界陸上」というよりは「織田裕二の世界」だと思う。陸上を通して織田裕二ワールドを体感する番組(なんて番組だ)になっている。さらにモ−リスグリーンなどの面識も親交もない陸上選手をフレンドリーに呼び捨てる様は「世界のODA」という誰も知らない既製事実をいつの間にか打ち立てた。番組のはじめの「ようこそ、僕の世界へ」というテンションに最近、自信や風格すら漂ってきた。俳優には無意味な風格なのですが。
さらに、JRAイメージキャラクターに選ばれたとき…
「ついに来たか‥」
と、打診を受けた織田裕二は思ったそうである。どうして今までこなかったのかと悩んでいた節もある、ちょっと陰を帯びた口調は、単なる「仕事受注」以上の物語を感じさせていて良い。松岡修造?いっしょにすんなよ、レースといえば俺でしょ。という、いつの間にかの増長ぶりをしっかり観ることができる。主演映画をもつ人気俳優という事実が、39歳のおじさんがそうとう調子こいている、という本質をかくしている。
JRAのイメージキャラクターに選ばれ、ドラマ「冗談じゃない」、さらにレギュラー番組「織田裕二の世界陸上」がはじまろうとする今、ひとつのピークを迎えようとしているのは確かだ。織田裕二絶頂期。「ついに来たか」はこっちの台詞だ。
そんな絶好調ぶりを物語るニュースが入った。
『世界211か国に織田裕二の歌声…「世界陸上」公式ソングに』
8/25の世界陸上大阪大会の開会式で、織田裕二が宝塚&オケをバックにド派手唱!「世界211か国」と「織田裕二」は天秤の皿の上でつりあっている、というイカサマ的感覚が楽しい。宝塚とオーケストラでちょうど同じくらいになるらしい。大阪らしいなあ。
「あっと驚く演出で登場する。とくに衣装に注目してほしい」
と裕二もノリノリ。俺、世界中継!のテンション。世界への進出の仕方を、凄まじいほどに劇的に間違えているのが、織田裕二のでかさだろう。それにしても織田裕二って何だろう。
記事のタイトルの憂いも見逃せない。「歌声」のあとの「…」がしみじみとした味わいを与えてくれる。「!」では決してない、語り口の湿り気を伝えていて素晴らしい。うたうのか… 織田裕二が… 世界211か国に… ああ‥ 歌い上げた後の、外国人たちの「誰だコイツは?」というぽかんとした顔を観るのが楽しみでしょうがない。
記事はこうしめられている。
『詳細はこれからだが、大会自体の各場面で使用される可能性も大いにあるだけに、織田の歌声も各国に届くことは確実。世界を舞台としたフィールドで、織田も世界に羽ばたくことになりそうだ。』
「織田の歌声も各国に響くことは確実」という、世界に響くことを危惧している感じにとれるところはグッド。最後の「織田も世界に羽ばたくことになりそうだ」という期待をあおる一文の、根本的なみんなの疑問を無視して押し切った感じは大好きだ。たぶん今、その疑問は言わない約束になっているんだろうな。
「どうして、世界陸上で羽ばたくの?」
text by 副編
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コメント
コメント、ありがとうございます。
そうだったんですか……織田裕二の略歴は知りませんでした。裕木奈江のようなバッシング時代があったんですね。
>あれだけのテンションを保つことの大変さ
資料の読み込みと取材は他の方でもできそうですが、あの番組に充満するテンションは確かに織田裕二ならでは。なんというか生来の‥努力や苦労というよりは好きだからしゃべっているようで、辛さを全然感じさせないところが凄いですね。でも、本業不明の状態はどうなのかとも思います。できれば映画等で俳優として世界に進出してはいかがかと思います。
>小さい事務所で仕事もとりずらい中頂いた仕事を精一杯努めている織田裕二は今後ますます油が乗ってきますよ。
もしかして、所属事務所の方ですか?
投稿: 副編 | 2007年8月15日 (水) 午後 05時24分
そうとう織田裕二に対して誤解されているみたいですね。
今まで叩かれ続けてもそれをバネにして努力し続けてきて今の織田がいることをご存知ないみたいですね。
世陸・・というたくさんの競技とたくさんの選手を事前に取材に毎回でかけ資料を読み込み生放送の深夜で
あれだけのテンションを保つことの大変さ。
誰でもできるものではありません。
小さい事務所で仕事もとりずらい中頂いた仕事を精一杯努めている織田裕二は今後ますます油が乗ってきますよ。
投稿: yuuka | 2007年8月14日 (火) 午後 08時03分