人生のすべり台番組「エンタの神様」
いま最も勢いのある人が出ると言われているナウな笑いの殿堂「エンタの神様」。毎週、多少のマンネリはありながらも、芸人を使い回す自転車操業的な番組感覚はハラハラどきどきの連続だ。芸人たちが人気という階段をかけ昇り、番組の頂点に立ったら、あとはどれだけ惰性で生きて行けるかが勝負のすべり台番組、スリル満点!
この番組で、桜塚やっくんを見ていると「今を生きる」という言葉が頭に浮かんでくる。絵を描いて客いじりする前説みたいな芸は、エンタの外では通用しない。それを自身でも分かっていながらやり続けずにはいられない「もうサイは振られたんだよ」的なやりきれない哀愁は、人生の深みすら感じさせる。いまのうちに稼げるだけ稼げ、昇れるだけ昇れ。冬の時代は、すぐそこだ。「笑い」に対する姿勢とか素人から問われちゃったりする時代だから。
キャーキャーしてる女の子たちの声援は残酷だ。その人気の頂点が終わったら、手の平をかえすはず。エンタはそこらへんのスパンが早い。そうだよね、ギター侍。だからリアルな話、どれだけ人気が出ても桜塚やっくんは住宅ローンとか組めないだろう。長期固定金利なんて無理。フラット35なんてもってのほかだ。
やっくんが本当に落ちぶれて、コンビニでバイトしているところを発見したとして、その姿までを指さして笑うことが、世間にとっての「エンタ」になっているような気がする。「キャー」から「そんな奴いたよねー」のスピードはかつてない高速だ。エンタって、恐いなあ。
それにくらべて、このやっくん。
人気の落下点が絶妙。
テレビには、こんな楽な生き方もある。
text by 副編
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