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2005年1月20日 (木)

最近のエピソード4

<最近のエピソード4 眠らせろ>

二人暮らしのマンション。妹はまだ帰っていない。
玄関の灯りをつけると、1枚のティッシュペーパーが
電灯のそばを舞っていた。
よく見ると蛾だ。でかくて白くて巨大な蛾。
まき散らすチョークみたいなりん粉が目に見えた。
蛾は高速で羽ばたき、何度も電灯にアタックしていた。
かと思うと、身を翻し、
物凄いスピードでこちらに向かってきた。目が赤くてでかい。
転げるように玄関を駆け抜け、自分の部屋に飛び込んだ。
息がおさまるのを待って、玄関をそっとのぞいた。
いない。
ひそんでいる。
疲れていたので寝ることにした。

が、となりの部屋でいつもの喧嘩がはじまった。
「うるせえよ!」を連呼する女。
「てめえだよ!」を連呼する男。
怒る体力はない。眠ろう、と目をつぶった。

しばらくすると「ピーポーピーポー」
今度は救急車が通りすぎた。
布団をかぶって音を遮断。

「ピリリリリリリリリ ピリリリリリリリリ」
今度はケータイが鳴った。懸命に無視すると
「ウウウウウウウウウウー」
消防車が通り過ぎた。
隣の部屋では食器が割れた。
眠るのをあきらめて、煙草を吸った。12時を回っている。

やがて隣の喧嘩がおさまり、救急車も消防車も消え去り、
ケータイも鳴りやんでいた。静かな闇が降りてきた。
その闇の中で、あの真っ白い蛾の、さらにでかい奴が、
ジャングルの奥地で黒人の子供に飛びかかる様子を想像した。
あの蛾は、まるで熱帯の生き物みたいに巨大だった。
あいつは一匹で、どこからやって来たんだろう。
時計の音が漂っていた。
思考が眠気に吸い込まれていった。
煙草を消し、布団をかぶり直した。
目をつぶった。もう1時を回っている。明日も忙しい。

しばらくして、妹が帰ってきた。
巨大な悲鳴がマンションに響いた。
命運を祈って、寝た。

text by 副編集長

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